コントユニット青点滅の日誌

青点滅の主催、ワカバヤシが書くブログです

HIRAKINAORI あとがき

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これは第1回コントユニット青点滅単独公演『HIRAKINAORI』をご覧になられた方用の記事です。各コントについて、脚本・演出のワカバヤシがつらつらと書いています。

オープニングコント

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今回、9月30日に公演をやると言ったらいろんな人から「◯◯と日程が被ってる」と言われました。演劇の世界にあまり明るくない僕からすると、正直、何の公演と被っていようが関係ないと思っていたのですが、あまりにも言われるのでコントにしてみました。でも、本当に僕、演劇の競合は演劇じゃないと思うんです。演劇を観に行きたいけど子供の運動会があるとか、どうしても抜けられない地域の行事があるとか、そういうことの方が高いハードルなんじゃないかと本当に思ってます。公演日が他の演劇と被っているなら、ただただこっちの方が面白くあればいいだけのことですが、地域の行事とか冠婚葬祭にはね、勝てないですよね。

村のおきて

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これは「狐のお面」を使って何かコントにできないかなぁと思って書き始めました。話の軸ができてから書き始めたわけじゃないので、展開つくるのに苦労した覚えがあります。でもあくまで狐のお面が面白いという風にはしたくなくって、狐面の女がいることによって変な感情を持ってしまう男二人が滑稽、という構図は守りたかったです。あと、冒頭のセリフが「かなちゃんって大型自動二輪の免許持ってんの?」なんですけど、これ、車の免許さえ持ってなさそうな女性が、意外にも大型二輪持ってたら惹かれるという自分の願望を込めて入れました。

秒で

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公演1ヶ月前に、台本を全面改修しました。演者さんたちがそろそろ台本を頭に入れてきたところでの全面改修。こういうのを平然とやれるメンタルが僕にはないので、言い出す時は胃がキリキリ……。でも、変えて良かったと思います。以前はもっと部長に対して「怒り」を出す感じの脚本で、誰もがしっくり来てない感じ。全面改修したあと、演者さんはすごくやりやすそうにしていたのでホッとしました。劇中に出てくる若者言葉を、お客さんが聴き慣れているかどうかで、見え方(ウケ方)が違うから、ちょっとお客さんを選んじゃうネタなんですよね。実際、どう見えたでしょう。

ドクター

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最初に思いついたときは、「医者と看護師と看護師と医者」っていうタイトルで、雰囲気だけ面白そうというコントでした(なんのコントかは自分でもうまく説明できません)。たいていの場合、「雰囲気面白そう」っていう感覚は当てにならなくて、いざ中身を書こうと思っても全然進まない。ということで、少しずつ骨子を変えてみて出来あがりました。このコントに出てくるボケ&ツッコミ台詞は僕が結構好きなものばかりで、「おやっさん!?」とか「ドクターって言わないでくれる?」とか「さっき最後って言ったじゃん」とか、全部好き。……そう、根源的にコネタボケが好きなんですよね。三谷幸喜さん作の『やっぱり猫が好き』とか好きだったんで、こういう会話劇、好きなんです。

未来人

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これも最初は「雰囲気面白そう」と思って作りはじめました。当初思いついたときは「未来人と過去人」っていうコントだったように思います。スゴイことばかりを言ってくる未来人に対し、知ってることばかり言ってくる過去人。っていう……これはこれで面白そうな気もしますが、タイムマシーンをフィットで例えられたら悲しいだろうなって思ったことから、今のコントにしました。本当は、物販で「タイムスリップカレンダー」を販売したかったんですけど、お金の関係で諦めたのが心残りです。

ガバイト大塚

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僕はこういうの「トリックコント」と呼んでいるんですけど(たぶんそう呼んでいるのは僕だけです)、舞台だからこそできるコントなんですよね。映像にしちゃうと、最初から背景で「父の部屋」だと明かさざるを得ないので、最初の大きなボケを諦めざるを得ません。他と比べると会話自体はあまり面白くなくて、3人それぞれやってることが面白いということでチャレンジした感じです。ただ、それはさておき、この家族すっごく仲良くて良いですよね。大塚さんは良いお子様をお持ちだと思います。会場では昼公演、夕方公演ともにドカンと笑いが起きていたコントでしたね。

サインください

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どこまで女性店員が意地悪になるかがすっごく難しくて。あまりに意地悪すぎると引いちゃうんじゃないかと心配していたのですが、最終的には「意地悪すぎてもいいや」って思うことにしました。あと小ボケとして、このコントに出てくる男性(南としふみ)が、『秒で』に出てくる部長と同一人物だったというのを入れたんですけど、これって姑息な手段なので入れるの気が引けるんですよね。でも、やっぱりウケやすいということで入れちゃいました。ちゃんとウケててよかったです。8つの脚本の中では自己採点で一番良い出来なので、今回披露できて良かったです。いいコントだ。映像にしても面白そう。

雨宮ぶどう

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あまり詳しく言えないのですが、これ実話を元にしたコントなんです。付き人の森田が言ってることが正論で、テレビ番組のスタッフなのにアーティストの顔を知らないなんて御法度。でも……ときどき、そういうことあったりするんですよね。ちなみに、「雨宮ぶどう」という名前は、椎名林檎さんを意識して名づけました。姓は珍しい系にして、名は果物。付き人の衣装は、信州出身のアーティスト・グリムスパンキーを意識してってお願いしました。このコントは、練習を重ねる度にアイデアが出てきて、ADなんてサブのサブのつもりだったのに最終的にはキャラが立ってきたし、付き人のエナジー推しも良い感じにタテ軸として使えたり。練習していて楽しいコントでした。