長野市で活動している「コントユニット青点滅」代表のワカバヤシです。脚本と演出をやっています。時々、主演もしたりしています。
僕は常々、「せっかく良い劇場があるのだから、もっと多くの人が劇場に足を運び、そこで行われているエンターテイメントにたくさんの人が触れる街であってほしい。だから、青点滅をやっています」と言っているし、本心で思っているのですが、少し自分の言葉に対して考えてみました。
僕はいったい「舞台」の何が好きなんだろうか。
僕が舞台を「好き!」と感じたのは、2回あって、1度目はアンタッチャブルさんの漫才を生で観た時。電波に乗ってテレビスピーカーから聞こえてくる漫才ではなく、生の劇場の漫才マイクから、いやマイクじゃなくほぼ肉声で聞こえる漫才は異様な迫力を持っていて、それまで色んなところでお笑いを見てきたつもりでしたが、後にも先にもあれだけエネルギーを感じた漫才はありません。舞台でしか経験できないお笑いのパワーに感動しました。
次が、ロッチさんの単独ライブに初めて関わったとき。単独ライブを作っていくのって、こんなに大変で、こんなに楽しいんだと肌で感じ、本番でドカドカウケてるのを見ていると鳥肌が立ってきました。
2回に共通するのは「熱量」。テレビやスマホでは感じられない「熱量」を舞台では感じられる。それが、いちばんの醍醐味だと思っているんだと思います。
つまり、僕が「舞台は良いものだ」と感じているキッカケは、プロの芸人さんが見せる本気のパフォーマンス。
時には、客をなめてるとしか思えない雑な「舞台」を観てしまったこともあります。そういった質の低い舞台も含めて、「舞台は良いものだ」と言ってるわけじゃない。
なので、冒頭に書いた「もっと多くの人が劇場に足を運び……」なんてのは綺麗事です。
本音を言えば、僕の住む長野県で、質が高く面白い演劇が頻繁に開催されるようになり、そこに足を運んでもらえる人が増えて、劇場から街が活性化するのが最高のストーリーです。
なので、自戒の意味を込めて書きますが、「どうすれば演劇が盛り上がるだろう?」と考えるヒマがあれば、最高に面白いコンテンツを作りまくることに時間を使った方がいい。もし、作ることができないのなら、呼んでくる、誘致するという手もある。
厄介なのは、面白くない舞台を作ってしまっていることに、当人たちが気付いていないというパターンで、さすがに他の団体のことまで口は出せないので、少なからず自分だけはそうならないようにしようと。
ただ、僕が青点滅を主催することにはマンパワー的な限界があるので、なんとかたくさんの人たちを巻き込んで、面白い舞台を量産できるような仕組みを作ろうと思います。
ちなみに、「面白いかどうかは人それぞれだしね」、というのは面白いものを作れていない人の言い訳です。少なくとも、僕が生で見たアンタッチャブルさんは、そんなこと思っていなかったはず。